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2020年11月7日
教員・研究者

間 久直 准教授

教員紹介

氏名 間 久直
職名 准教授
学位 博士 (工学)
領域 量子エネルギー工学講座 量子ビーム応用工学領域
領域HP

安全で体の負担が少ない光診断・治療技術の開発

レーザーや発光ダイオード(LED)の光を用いて癌、齲蝕(虫歯)、動脈硬化、前立腺肥大症、下肢静脈瘤、結石など様々な疾患の診断・治療を安全に行うための機器や手法の開発を行っています。エンジニアだけではなく、医師、歯科医師や医療機器メーカーの方々と一緒になって臨床での実用化を目指しているところが特徴です。最近では、内視鏡と光ファイバーを用いてレーザーを体内に導光し、早期消化管癌(食道癌、胃癌、大腸癌)を安全に治療できる装置、齲蝕の正確な診断のために歯の硬さを簡便に測定する装置などが実用化に近い段階になっています。新しい治療法の効果を実験的に確認するだけではなく、治療効果を正確に予測するための計算機シミュレーションモデルの開発を行うことで、新しい治療法を短期間で実用化するための基盤づくりも行っています。既に臨床で用いられている光線力学療法(photodynamic therapy; PDT)は、癌細胞に特異的に集積する光感受性物質を投与してから光を照射することで活性酸素種を発生させ、癌細胞のみを選択的に死滅させる低侵襲な癌治療法ですが、適用できる癌の種類を拡大したり、治療効果をより高める条件を検討するために計算機シミュレーションを活用しています。

レーザーイオン化質量分析技術の開発

レーザーを使うと分子量が数万を超えるような巨大な分子を壊さずにイオン化させることができ、そのイオンの質量分析を行うことでタンパク質や薬物など医療でも重要な分子の分析を行うことができます。生体試料中には非常に多くの物質が混在しているため、液体クロマトグラフで分離してから質量分析を行う手法が広く用いられていますが、通常のレーザーイオン化は真空中で行われるため、液体クロマトグラフと直接接続することができません。そこで、大気中で試料溶液にレーザーを照射してイオン化させ、質量分析と直接接続することで生体試料を高速に分析するための装置開発を行っています。また、質量分析と画像観察を組み合わせた質量分析イメージングという手法の研究も行っています。質量によって物質を分離して、その物質毎の空間分布を同時に測定することができます。市販の装置では観察できないような細胞レベルの大きさまで観察可能な高解像度イメージング質量分析装置の開発を行っています。

論文・著書リスト:

  1. Sota Kondo, Hisanao Hazama, Yutaka Tomioka, Atsushi Mine, Satoshi Yamaguchi, Saeko Okumura, Hiroaki Tanimoto, Kenzo Yasuo, Kazushi Yoshikawa, Kazuyo Yamamoto, and Kunio Awazu: “Demonstration of an optical dentin hardness measuring device using bovine dentin with different demineralization times,” Journal of Biomedical Optics, 27(10), 105004 (2022).
  2. Aya Kasakawa, Shinichi Sekine, Kenji Tanaka, Jumpei Murakami, Sota Kondo, Hisanao Hazama, Kunio Awazu, and Shigehisa Akiyama: “Effect of Q-switched Er:YAG laser irradiation on bonding performance to dentin surface,” Dental Materials Journal 41(4), 616–623 (2022).
  3. Hiroki Kannen, Yuto Miyoshi, Hisanao Hazama, and Kunio Awazu: “Improvement in Ionization Efficiency Using Metal Oxide Nanoparticles in Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry of a Cancer Drug,” Mass Spectrometry 10(1), A0099, 1–5 (2021).
  4. Sochi Judith Ogbonna, Hisanao Hazama, and Kunio Awazu: “Mass Spectrometric Analysis of the Photobleaching of Protoporphyrin IX Used in Photodynamic Diagnosis and Therapy of Cancer,” Photochemistry and Photobiology 97(5), 1089–1096 (2021).
  5. Yu Shimojo, Takahiro Nishimura, Hisanao Hazama, Nobuhisa Ito, and Kunio Awazu: “Incident fluence analysis for 755-nm picosecond Laser treatment of pigmented skin lesions based on threshold fluences for melanosome disruption,” Lasers in Surgery and Medicine 53(8), 1096–1104 (2021).
  6. Sharmin Akter, Sachiko Saito, Mizuho Inai, Norihiro Honda, Hisanao Hazama, Tomoyuki Nishikawa, Yasufumi Kaneda, and Kunio Awazu: “Efficient photodynamic therapy against drug-resistant prostate cancer using replication-deficient virus particles and talaporfin sodium,” Lasers in Medical Science 36(4), 743­­–750 (2021).