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環エネTOPICS

2022年2月3日
教員・研究者

山田 裕貴 教授

教員紹介

氏名 山田 裕貴
職名 教授
学位 博士 (工学)
領域 エネルギー材料学領域
領域HP

 

二次電池用新材料・新反応の開拓

二次電池は、電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄え必要なときに取り出すことのできるエネルギー変換・貯蔵デバイスです。当研究室では、リチウムイオン電池の飛躍的な高性能化・高安全化や、リチウムイオン電池を超える新型二次電池の実現に向けた新材料・新反応の開発を行っています。例えば、正極と負極の間でイオンを輸送する電解液に着目し、イオン-イオン間やイオン-溶媒分子間のつながりを制御するという独自のアプローチによって、既存材料にはない特殊な機能・性質の開拓を行っています。これまで、異常な還元安定性の発現、5 V以上の高い酸化安定性の発現、電極反応の高速化、金属の酸化腐食反応の抑制、難燃性の付与などを見いだしてきました。これらは、リチウムイオン電池の高電圧化、急速充電、高安全化を可能にするものです。今後も、斬新なアプローチによって既存技術の延長線上にない新材料・新反応の開拓に挑戦していきます。

新型二次電池の開発

リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコンなどに使われ、日々の生活に欠かせないデバイスとなっています。最近では、電気自動車や電力貯蔵用途としての需要が高まり、リチウムイオン電池を超える高性能・高安全な新型二次電池の開発が求められています。当研究室では、開発した新材料の機能・性質を最大限に利用し、従来材料では不可能な新型二次電池の開発と実用化に向けた研究を行っています。その一つとして、高電圧の水系二次電池(水を電解液溶媒とした電池)が挙げられます。従来の水系二次電池(ニッケル水素電池、鉛蓄電池など)は、火災の危険性は低いですが、水の電気分解が起こりやすいため、作動電圧は2 V以下となってしまいます。それに対して、当研究室では、常温で液体の水和物(水和融体, hydrate melt)を電解液として採用するという新たなアプローチによって、水の耐電圧性を大幅に高めることに成功し、3 V以上の作動電圧を示す新型水系電池を提案しました。つまり、リチウムイオン電池(2.4~3.8 V)に匹敵する作動電圧を発生しつつ、火災のリスクを最小化できる可能性が見いだされたことになります。今後も、新型水系二次電池の限界に挑戦していくとともに、未だ実現されていない次世代二次電池デバイスの開発に取り組んでいきます。

電気化学における新理論の確立

電池反応の本質となる電気エネルギーと化学エネルギーの相互変換を扱う学問は「電気化学」と呼ばれています。現在使われているリチウムイオン電池や燃料電池もこの電気化学に基づき設計されています。しかし、当研究室が開発してきた新規電解液材料が示す特殊な機能は、従来の電気化学理論では説明することができません。これは、電気化学という学問が、イオン-イオン間の相互作用が働かない極めて希薄な電解液(電解質濃度が低い)を対象として創成し、発展してきたためです。当研究室では、新規電解液材料にも適用可能な電気化学新理論の構築を行っています。具体的には、機能発現の原因となるイオン-イオン相互作用、イオン-溶媒分子相互作用や電気化学反応場となる電極/電解液界面の精密解析を通して、電気化学理論及び界面構造を再考し、将来の教科書に掲載されるような電気化学新理論の確立に挑戦していきます。

学生へのメッセージ

2021年4月に発足した新しい研究室です。エネルギー問題に対して「化学」からアプローチしたい方、大量のエネルギーを安全に貯蔵可能な次世代二次電池の研究に興味のある方におすすめです。

 

論文・著書リスト:

  1. Qifeng Zheng, Yuki Yamada, Rui Shang, Seongjae Ko, Yun-Yang Lee, Kijae Kim, Eiichi Nakamura, Atsuo Yamada, A cyclic phosphate-based battery electrolyte for high voltage and safe operation, Nature Energy, 5, 291-298 (2020). https://doi.org/10.1038/s41560-020-0567-z
  2. Yuki Yamada, Jianhui Wang (co-first author), Seongjae Ko, Eriko Watanabe, Atsuo Yamada, Advances and issues in developing salt-concentrated battery electrolytes, Nature Energy, 4, 269-280 (2019). https://doi.org/10.1038/s41560-019-0336-z
  3. Jianhui Wang, Yuki Yamada, Keitaro Sodeyama, Eriko Watanabe, Koji Takada, Yoshitaka Tateyama, Atsuo Yamada, Fire-extinguishing organic electrolytes for safe batteries, Nature Energy, 3, 22-29 (2018). https://doi.org/10.1038/s41560-017-0033-8
  4. Yuki Yamada, Kenji Usui, Keitaro Sodeyama, Seongjae Ko, Yoshitaka Tateyama, Atsuo Yamada, Hydrate-melt electrolytes for high-energy-density aqueous batteries, Nature Energy, 1, Article number:16129 (2016). https://doi.org/10.1038/NENERGY.2016.129
  5. Jianhui Wang, Yuki Yamada (co-first author), Keitaro Sodeyama, Ching Hua Chiang, Yoshitaka Tateyama, Atsuo Yamada, Superconcentrated electrolytes for a high-voltage lithium-ion battery, Nature Communications, 7, Article number:12032 (2016). https://doi.org/10.1038/ncomms12032
  6. Yuki Yamada, Keizo Furukawa, Keitaro Sodeyama, Keisuke Kikuchi, Makoto Yaegashi, Yoshitaka Tateyama, Atsuo Yamada, Unusual stability of acetonitrile-based superconcentrated electrolytes for fast-charging lithium-ion batteries, Journal of the American Chemical Society, 136, 5039-5046 (2014). https://doi.org/10.1021/ja412807w