2014年4月1日
研究
核融合研究「乱流揺動と運動量・エネルギー輸送」(量子エネルギー基礎工学領域)
次世代のエネルギー源として期待されている核融合の研究は,欧州で建設が進んでいるITER(国際熱核融合炉)の核燃焼プラズマ実験で工学的成立性を検証する段階にあります。しかしながら,炉心プラズマ性能に顕著な影響を及ぼす乱流輸送の物理機構は未だ充分に解明されておらず,ITERの設計には国際協力活動で構築したデータベースを基に導いた経験則を援用しています。数億度の超高温プラズマにおける温度と密度の分布は,磁場配位のほか乱流揺動による構造形成や流れ場の捩れと密接に関わっており,統合的な理解を目指した研究が世界各国で重点的に進められています。
当研究室では,トロイダル系閉じ込め装置における普遍的な輸送機構を明らかにし,炉心性能の向上を図るため,共同研究の枠組みで原子力機構や核融合科学研究所に出向いて実験したりBX900計算機を用いた数値解析を遠隔で行ったりしています。GS2とGLF23を用いた最近の研究では,電子加熱が支配的となる核燃焼プラズマで輸送を低減するためには非軸加熱による分布制御が重要であることが分かりました。また,平衡解析コードTOSCAを用いて独自に開発したトカマク装置では高周波加熱・電流駆動設備と種々の計測器を用いて波動物理や放電制御に係わる外挿性の高い実験研究を展開しています。