大石 佑治 准教授
教員紹介
氏名 大石 佑治
職名 准教授
学位 博士(科学)
領域 共生エネルギーシステム学講座 環境エネルギー材料工学領域
領域HPへ
超高温融体の物性解明を目指して
炉心溶融事故では、二酸化ウランやジルコニア等が溶融した炉心溶融物が生成した可能性があります。これらの挙動を明らかにするためには、その物性を知る必要があります。しかし、これらの物質は3000 ℃に近い融点を有しており、物性測定は容易ではありません。そこで我々のグループでは、ガス浮遊法や静電浮遊法といった浮遊法に着目して物性評価に取り組んでいます。ところが、浮遊法といえども二酸化ウランやジルコニアの溶融物の物性測定は困難であり、新しい技術の開発が必要です。我々のグループでは、既存の浮遊法の適用だけではなく新しい手法の開発にも取り組み、これまでに溶融したジルコニアの粘性や表面張力を世界で初めて測定することに成功しました。二酸化ウランやさらなる高融点物質の物性も解明すべく、研究を進めています。
究極の環境調和型材料であるSiをベースに高性能熱電材料を開発する
熱電変換材料とは、温度差があれば熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる材料です。サイズを小さくしても変換効率が変わらないので、廃熱を回収して電気エネルギーに変換するテクノロジーとして注目されています。現在のところ、高性能な熱電材料は希少な元素や有毒な元素を含んでいるため、熱電材料は広く実用化されるに至っていません。シリコンのようなありふれた元素からなる高性能な熱電材料が作れれば良いのですが、このような元素からなる物質は熱電変換性能が低いという問題がありました。ところが最近になって、10 nm程度の極微細な構造を材料中に形成することにより、熱電性能が飛躍的に向上し得ることが明らかになってきました。そこで、独自に開発した手法を使ってシリコンをナノ構造化することで熱電性能を飛躍的に向上させようと研究を進めています。
論文リスト
- J. Xie, Y. Ohishi, S. Ichikawa, H. Muta, K. Kurosaki and S. Yamanaka, “Naturally decorated dislocations capable of enhancing multiple phonon scattering in Si-based thermoelectric composites”, J. Appl. Phys. 123, 115114, 2018.
- T. Kondo, H. Muta, K. Kurosaki, F. Kargl, A. Yamaji, M. Furuya and Y. Ohishi, “Density and viscosity of liquid ZrO2 measured by aerodynamic levitation technique”, Heliyon 5, e02049, 2019.
- Y. Ohishi, K. Kurokawa, Y. Sun, and H. Muta, “Thermophysical properties of molten Zr1-xOx(x=0.1,0.2) measured by electrostatic levitation”, J. Nucl. Mater. 528, 151873, 2020.
- T. Kondo, H. Muta, and Y. Ohishi, “Droplet impingement method to measure the surface tension of molten zirconium oxide”, J. Nucl. Sci. Technol. DOI: 10.1080/00223131.2020.1736681