Kan-Ene Topics! 環エネTOPICS!

2019年11月21日
教員・研究者

松尾 智仁 助教

教員紹介

氏名 松尾智仁
職名 助教
学位 博士(工学)
領域 環境システム学講座 共生環境評価領域
領域HP

数値流体力学(CFD)を用いた室内環境、都市環境の推定

空気をはじめとする気体や、水・油のような液体を総称して流体といい、流体の運動を調べる学問分野のことを流体力学といいます。流体力学の中でも、コンピュータを用いて流体の運動や物質、エネルギーの輸送現象を調べる学問分野のことを、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics: CFD)といいます。私の研究は、数値流体力学を用いて、空調機器が稼働しているときの室内や、太陽に照らされた都市内部について、その気流分布や温度分布を数値モデルにより推定することです。そのような推定は、例えばビル内部の空調設備の設計や、都市ヒートアイランド現象の現状把握と原因の調査などに役立てられます。

数値モデルと観測を融合した流体のシミュレーション

数値流体力学を用いた数値モデルによって、室内、都市内の温熱環境を推定することができます。しかし、将来の温熱環境を正確に予測するためには、まず現在の温熱環境を正確に把握する必要があります。たとえば天気予報では、気象衛星や気象観測所から得られた観測データを用いて過去から現在までの気象場をできるだけ正確に再現することで、明日の天気をより正確に予測できるようにしています。同様の技術を応用することで、室内、都市内についても、観測データを用いてより正確、詳細に温熱環境を把握することができます。またそれだけでなく、冷房・暖房が効きにくい、風が通りにくいと言った室内や都市の抱える問題の原因と解決策を探ることにも役立てられます。

論文・著書リスト

  1. Matsuo T., Shimadera H., Kondo A. 2019. Identification of Multiple Contamination Sources using Variational Continuous Assimilation. Building and Environment, Vol.147, pp. 422-433
  2. Matsuo T., Kondo A., Shimadera H., Kyuno T., Inoue Y. 2015. Estimation of indoor contamination source location by using variational continuous assimilation method, Building Simulation, Vol.8, Issue.4, pp.443-452
  3. 松尾智仁, 嶋寺光, 近藤明, 小松彰, 塩地純夫. 2017. 連続的データ同化法を用いた室内環境推定に関する研究 第3報――室内放出源推定の観測誤差に対する感度解析. 空気調和・衛生工学会論文集, Vol.249, pp. 23-31