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2014年4月1日
研究

様々な分子を細胞レベルでイメージングするレーザーイオン化質量分析装置の開発(量子ビーム応用工学領域)

物質を質量で分離する質量分析とイメージングを組み合わせて、様々な分子の空間分布を同時に測定する「イメージング質量分析」という手法がバイオ・医療の研究などに用いられるようになってきています。一般的にはレーザーを10~100 µm程度の点に集光して物質をイオン化させ、電圧で加速した後、一定の距離を飛行する時間を測定して質量を求める飛行時間型質量分析で、レーザーの集光点を走査しながら各点で質量分析を行うことで各質量での画像を取得する走査型イメージング質量分析が用いられています。しかし、細胞レベルでの観察ができず、測定に数から数十時間を要するという問題があります。レーザーで試料全面をイオン化させ、イオンを静電レンズで結像させる投影型イメージング質量分析を用いると、短時間で細胞レベルでの観察が可能になりますが、イオンの到達位置と到達時刻を同時かつ高頻度で測定可能な検出器が必要になります。

投影型イメージング質量分析による観察例そこで、環境・エネルギー工学科の粟津邦男教授、間久直講師、大阪大学理学部の豊田岐聡教授、青木順助教、高エネルギー加速器研究機構の新井康夫教授らが共同で投影型イメージング質量分析に利用可能なイオン検出器の開発を進めています。投影型イメージング質量分析は、バイオ・医療分野では病気のメカニズムの研究や診断、放射性物質の体内分布の測定などへの応用が期待できます。医薬品業界では新薬開発の高効率化が期待でき、工業分野でも新たなアプローチでの有機電子デバイス開発などが可能になると予想されます。イメージング質量分析の2手法