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2014年4月1日
研究

福島県内での実土壌・建材を用いた除染実験(量子線生体材料工学領域)

「セシウムの動態解析に基づく除染シナリオの構築と磁気力制御型除染法の開発」(H25-26環境省環境研究総合推進費(問題対応型 行政推薦課題 代表:秋山庸子准教授)委託事業では,福島大学,新潟大学と協力して,福島県内で実土壌,実建材を用いた除染実験を行っています。

放射性物質,特に半減期の長いセシウム137で汚染された大量の土壌や建材などの処理の問題は,事故から年月がたった現在でも大変深刻な問題です。運搬や保管場所の問題から,放射性廃棄物はできる限り量を減らす(減容化する)必要があります。そこで本研究室の特色である磁気力制御技術とコロイド界面化学の考え方を利用して,効率良く除染と減容化を行うための研究を行っています。セシウムは,土壌中では粒径数μmの細かい粒子である粘土成分に多く吸着しています。その中でもバーミキュライトなどの2:1型粘土鉱物に特に強く吸着する性質を持っています。2:1型粘土鉱物は常磁性で,強力な磁石に引き寄せられる性質を持つため,これを磁気力制御によって選択的に回収することで,土壌の線量を低減し,汚染物を減容化することが可能になります。また一方で,住居を構成するさまざまな建材へのセシウムの吸着状態が詳しく解明されていないため,その浸透深さや吸着メカニズムを明らかにすることで,住居の除染を効果的に行ったり,がれきの減容化を行ったりする手法を検討しています。

除染実験1除染実験2