研究テーマ

1. 持続可能社会デザイン研究

「持続可能」とは、将来のニーズを満たす能力を損なうことのないよう、現在の機能を継続・発展することです。 持続可能性を実現するには、特定の事象の最適化を図るだけでは十分ではなく、社会、経済、環境といった人間と自然がかかわる幅広い事象の 連関の考慮が求められます。持続可能な都市・地域を実現するためには、まず、幅広い視野で都市・地域の課題を観察し、 関連する事象の因果関係を洞察することが必要です。本研究室では、様々な空間や概念のレベルで対象となる都市・地域を調査するとともに、 モデル分析、システム分析などのアプローチにより、社会、経済、環境の相互連関の仕組みを捉え、それらの知見に基づき、 持続可能な都市を実現するための方策を探求しています。

関連研究

2. 都市活動解析・予測研究

住みよい都市を実現するために、様々な観点から都市活動の解析・予測手法を研究しています。都市の住みよさにはどのような要素が影響しているのか、 人々の住みよさの感じ方はどのように決まるのか、といった基本的な事柄も自明ではありません。様々な統計資料や調査に基づき、 住みよさの仕組みを明らかにすることを目指しています。

関連研究

  • Masanobu Kii, Rolf Moeckel, Jean-Claude Thill, Land use, transport, and environment interactions:WCTR 2016 contributions and future research directions, Computers, Environment and Urban Systems, Volume 77, 101335, 2019.
  • Zhenyu Gao, Masanobu Kii, Atsuko Nonomura, Kazuki Nakamura: Urban expansion using remote-sensing data and a monocentric urban model, Computers, Environment and Urban Systems, In Press, Corrected Proof, Available online 31 May 2017,
    https://doi.org/10.1016/j.compenvurbsys.2017.05.002

3. 土地利用・景観・歴史的環境保全に関する研究

地域固有の歴史的環境は、様々な事象(建物、自然、人間活動、文化、社会など)の全てが関係し合って生まれ・育まれてきました。 そして、これらが「目に見える環境」として眼前に現れているものが地域固有の景観といえます。 つまり、景観を考えることは、まちの環境を考えることにつながるのです。

そのため研究テーマに関しても、色彩や形態のコントロールなどの協議の景観工学を越えて、 変化し続ける地域の社会環境・自然環境との関係をどう保ち続けるか、保全以外の価値観とどう折り合いをつけるのか、 景観管理に関わる主体をどうマネジメントするのか、景観・土地利用行政がどうあるべきかなどについて考えています。

地域の環境に即した土地利用の在り方、自治体による景観・土地利用のコントロール、建物修景などの研究成果を長年蓄積しながら、 近年は景観法制定(2004)年以降の景観行政の在り方、文化財保護法にもとづく文化的景観の保全、歴史まちづくり法 (歴史的風致維持向上計画)の研究、海外では中国の租界・租借地や韓国の農村の景観整備に関する研究などを行ってきました。

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4. パブリックデザイン研究

都市には 「不特定多数の人々が、一時的に、自由に利用することの可能な空間」 が必要であり、その空間の魅力が都市を特徴づけているといえるます。 こうした空間を鳴海邦碩教授(1979-2003在籍)が「自由空間」と定義し、その特徴や利用・管理について研究を継続してきました。

近年は開発・再開発に伴い創出される公共空間の管理、利用者の工夫により獲得する空間(ストリートダンス・ミュージシャンなど)から デザインや管理のヒントを見出すもの、都市公園における多様な利用に関する研究(保育園設置、キッチンカーの導入)、 道路空間・水辺空間の新たな活用など様々な研究を展開しています。

また、まちづくりへの「自由な参加」という意味からもパブリックという概念を考えており。 参加型まちづくりの研究、エリアマネジメントなど様々な主体による環境改善の活動、そして参加を促す場・ プラットフォームの研究や実践も長年行ってきています。

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